海外ではゲームのリハビリ効果は高い評価を受けていますが、日本ではゲーム中毒や、ネトゲ廃人など、マイナスなイメージが付きまとったこともあるせいか、医療現場への導入はあまり進んでいませんでした。

しかし、最近になってようやく、医療施設や介護施設にゲームを導入する動きがでてきています。ゲームを利用したリハビリ効果の研究報告もかなり増えてきました。高齢者むけゲーム機の開発、販売・レンタルに力を入れる業者も増えてきました。

ゲームを導入した介護施設のHPを見てみると、いまは多種多様なゲームが開発されていることがわかります。まるでゲームセンターかお祭りの縁日の写真でも見ているかのようです。

ゲームを楽しんでいるのはすべてお年寄り。こころなし、女性が多い気がします。実際に遊んでいるお年寄りに話しを聞くと、「楽しい」「夢中になる」「他の人に負けたくないので、ついがんばってしまう」という声が続々ときこえてきます。こうした日本のお年寄りの姿は海外のニュース番組でも取り上げられ、大きな話題を呼んでいます。

実は、10年ほど前にゲームをリハビリに使おうとした介護施設もあったのですが、そのときは失敗に終わっています。その頃はまだ研究がそれほど進んでない状態でした。ゲームを導入した施設も、置いておけば高齢者が自分から遊ぶだろうと思い込み、積極的に働きかけることはしませんでした。結果、その存在はすぐに忘れ去られ、物置と化してしまったそうです。そのときの失敗もふまえ、医療関係者とゲーム会社が共同で開発した結果、最近になってゲームの医療への転用への糸口が見え始めてきたのです。

日本では業務用のゲームを土台にしたゲームの開発が盛んですが、海外ではどうでしょうか。海外のリハビリ用ゲームはビデオゲームの開発が中心となっています。特にアメリカがこの分野に力をいれています。例としては、飛行機の操縦を体験できるシミュレーション型のゲームが開発されています。画面を見ながら飛行機の操縦を体験することで手足を動かすことで認知機能の向上が期待できるそうです。

どんなにリハビリが必要でも、理論で患者を説き伏せることは、ほぼ不可能です。患者本人の心が動かなければ、体も動きません。ほんの少し手足を動かすだけで、これほど大きなワクワク感や高揚感を感じられるレクリエーションは存在しません。ゲームは心身の健康を保つツールとして大きな可能性を秘めているのです。

日本の病院でのゲームの医療現場への導入はまだそれほど進んでいませんが、海外でゲームの医療転用が盛んになってくれば、日本でも医療設備としてゲーム機の導入に医療補助費が認められる可能性がでてきます。

スマホの普及で、オンラインゲームは以前よりも身近な存在になってきています。無料のオンラインゲームもかなりの数にのぼります。医療費節約のために、国がゲーム推奨する可能性もゼロではありません。病院へ行って、抗うつ錠の代わりにゲームを処方されたり、リハビリ室の大半をゲーム機が占めるといったこともあるかもしれません。