「ゲームばかりやって、脳に悪い影響が出ないのか?」と不安に思っている親も多いと思います。また、勉強する時間が減るので、学校の成績が落ちるのでは?と心配はつきません。実際にはどうなのでしょう?

レクリエーション以外の目的や効果を持ったゲームを『シリアスゲーム』と呼びます。アメリカでは、かなり以前から定着している言葉です。しかし、日本で知られるようになったのは、ごく最近で、『脳トレ』が世に出てきてからは少しずつすられるようになってきました。日本はゲーム大国とよばれる割には、ゲームの学術的研究は、世界に比べて遅れをとっているのが現状です。

しかし、シリアスゲームを子どもの学習に役立てようという試みは日本でも少しづつふえてきています。試験的にゲームを学習に取り入れている学校もあります。

世界史の授業に『大航海時代online』を用いて授業をした生徒と用いなかった生徒の授業の理解度、学習意欲を様々な角度から検証したところ、ゲームを用いた生徒のほうがよい成績を収めたそうです。また、教育専用のテレビゲームを使用して、成績の悪かった子どもに勉強させてみたところ、やはり成績が向上した、勉強意欲が上がったという結果がでたそうです。

他にも子どもの勉強の教材を作る会社でも、ゲーム機のような教材で漢字や算数の勉強ができるものを販売しています。シリアスゲームを開発する会社、研究者も増え始めています。学生が作る教育用ゲームソフトのできを競うコンテストも行われています。

コンテストの優秀賞をとったゲームを小学生にプレイしてもらったところ、ここでも成績の向上したという結果がえられました。ただ、被験者となる子どもの人数が少なかったので、効果があったと断言するには根拠が少し弱いようです。

それよりも、子どもに同伴した親の反応が劇的に変わったのです。ゲームを開始する前に親にアンケートをとったところ、ゲームを勉強に利用することに対して懐疑的だった親が7割を占めていました。ところが、実際に子どもがゲームをしている姿を見たあとでは、利用するのはいいことだとする親が9割をこえていたのです。

ゲームは子どもの好奇心を刺激し、楽しみながら知識を増やせるという従来の勉強方にはない実力を持っています。しかし、ゲームは子どもにとって悪いものという印象はまだぬぐいきれていません。

これは、教育する側にゲームへの理解がまだ浸透していない、というのが原因の一端にあるようです。昔、テレビが普及しはじめた頃、やはり子どもがテレビばかり見て勉強しない、ということが問題になりました。しかし、今は大人向けの教養番組がたくさん製作されています。

意外ですが、何百年も前、印刷技術が開発され本が大量に出回るようになると、本を読むと目が悪くなるから、読まないほうがいい。という風潮が広まっていきました。今では読書が悪いものだという人は、まずいません。新しいものは受け入れられるのに時間がかかるということなのでしょう。

ゲームをしている子どもの姿をはらはらしてみているだけでは、不安がつのるばかりです。親もゲームをやってみて、そのよしあしを自分で見分ける努力をして、子どもに良いゲーム、悪いゲームを見分ける目を養いましょう。