Month10月 2016

一日の適正時間は?やりすぎは逆効果になることも

ゲームに様々な効果があることがわかりましたが、どんなものでもやりすぎはよくあらいません。長時間ゲームをやりつづければ、心身ともに悪影響が出てきます。

身体的には
・コントローラーのボタンを長時間にわたって押し続けたり、コントローラーを何度も振ることによって、関節などに痛みを覚えたり、炎症を発症したりする。ゲーム親指や、Wii症候群という名称がつけられています。

・長時間ゲームをしていると、ごくまれではあるが、てんかんに似た発作をおこすことがある。激しい光の点滅にさらされたためと考えられ、光過敏性発作とよばれる。

・長時間ゲームをしたあと、ゲームを離れているにもかかわらず、ゲームの内容が目の前に浮かぶことがある。テトリス愛好者に特におおいことから、テトリス効果と呼ばれている。(他のゲームでもおこる)車の運転中などに起こると事故を起こす可能性もある。

他にも、視力の低下、眼精疲労や変頭痛があります。

また、長時間ゲームをすることで、仕事や勉強、人づきあいに悪い影響が出てくるようになります。ゲームを長時間プレイしているうちに、ゲームなしではいられないようになる、『ネットゲーム依存』におちいることもあります。

ゲームは1日にどれくらいやれば、いい効果がえられるのでしょうか?研究機関によって、少々ばらつきはありますが、1時間前後を目安にするといいようです。1日1時間程度のゲームなら、子どもの成長によい結果を与えるという研究報告があります。

また、1日一時間程度であれば、ゲームをまったくやらない子どもよりもやる子どものほうが、生活の満足度が高く、社交性もあるという結果も出たそうです。

逆に1時間以上やると、落ち着きがなくなったり注意力散漫になったり、睡眠が浅くなったりすることが報告されています。

また、ゲームを自己成長目的ではなく、現実逃避のためにプレイすると悪影響が出やすいのですが、その悪影響の出やすい時間のターニングポイントが1日3時間以上という報告もあります。3時間を越えるあたりから、ひきこもりになったり、うつ状態になったり、学校の成績が下がるなどの影響が見られるようになるそうです。

大人であれば自制することはそう難しくないのかもしれませんが、子どもでは困難かもしれません。ここは、やはり親など身近な大人がしっかり管理する必要があります。時間の管理だけでなく、ゲームの目的についても子どもとしっかり確認する必要があります。

親が頭から『ゲームなんてくだらない』『時間の無駄』的な発想でいると、やりすぎにつながることが多くなります。こういった発言は、親が子を思う気持ちから発せられるものではありますが、ゲームから受ける恩恵を感じられなくなってしまいます。

子どもの長時間の使用をとめたいなら、親も一緒にプレイしてみたり、何のためにプレイするのかを話し合ってみたほうがいいでしょう。じっさい、ゲームから得られる恩恵について子どもと一緒に考えることで、子どものゲームとの付き合い方が劇的に変わった例もあるのです。

ここで言いたいのは、ゲームをたくさんすれば能力が無限大に拡大するということではありません。ゲームは人を成長させたり、生活を改善することをサポートする強力なツールになるということです。

要注意!心身に悪影響が出るゲームもある

ゲームには想像以上の効果があることはわかりましたが、これだけ多くのゲームがあれば、中には心身に悪影響を及ぼすものも少数ですが、存在します。

最近は、スマホでソーシャルゲームをプレイする人が増えてきています。SNSを通じて、あったこともない人とゲームをすることも珍しくありません。それ自体は、まったく悪いことではありません。しかし、ゲームを選ばないと大変なことになります。

まず、見知らぬ相手とプレイするのに、一対一の対戦型ゲームは避けたほうがいいでしょう。顔を突き合わせての対戦型ゲームはそれほど問題はないのですが、顔の見えない相手とこうした暴力的なゲームをすると、憎悪などの感情が必要以上に増幅されることがあるのです。SNSが新たな憎悪の拡散のツールになりつつあるということは、世界中で問題になっています。SNSのゲームは、協力しながら何かを成し遂げるタイプのものを選んだほうが無難です。

また、ソーシャルゲームには終わりがありません。ステージをクリアすると、また次のステージが出てきて、やめられなくなっています。これは、他のゲームにない特徴で、ソーシャルゲームが中毒性が高いといわれる原因の一つとなっています。

また、ゲームを進めるために、アイテムを集める必要があるゲームもあります。それに対して課金をするシステムが取り入れられていることも多く、他のプレイヤーに負けまいとお金をつぎ込んでしまう人が後をたちません。未成年が何十万円もの課金を請求され、問題になったこともあります。課金制度は、プレイする前によく確認しましょう。

また、最近のソーシャルゲームは新しいタイプの出会い系サイトのようになっているという指摘もあります。アイテムを使った詐欺も発生しており、何万円も盗られた例もありますので、充分注意する必要があります。

ゲームが人にいい影響を与えるか、悪い影響を与えるかは、プレイする時間の長さも関係しています。また、ゲームの目的をはっきりさせることも大事です。ゲームをプレイする最適な時間は、最大でも3時間にとどめておいたほうがいいという研究結果がでています。3時間をすぎると、仕事や勉強など、社会生活に必要なことに使う時間を奪われることになります。

健全な生活を営むための時間が少なくなれば、生活のリズムが崩れたり、人付き合いがうまくいかなくなったりして、現実逃避のためにますますゲームにのめりこむ…という負のスパイラルが生まれやすくなります。要は実生活とのバランスをとることが大事なのです。

ゲームから何を得たいのかということも、プレイする前に自分の中で明確な答えを出しておきましょう。

ゲームが日常生活に様々な恩恵をもたらしてくれますが、どんなものにもいい面と悪い面があります。ゲームも同様です。生活のほとんどをゲームに費やすような生活は不健康です。自分なりの明確なルールを作りましょう。お子さんがゲームする場合は、ゲームを与える前に、ルールをはっきりさせておきましょう。

何のためにプレイするのか?目的をはっきりさせよう

どんなゲームが自分に合うか?の答えは、ゲームに何を求めているか?という質問に置きかえたほうが答えが出るのが早いかもしれません。あまりこだわり過ぎる必要はありませんが、やはりゲームごとに個性はあるので、ゲームの特性はある程度は知っておいたほうが選びやすくなります。

ストレス解消でしょうか?コミュニケーション能力を高めたいですか?記憶力をよくしたいでしょうか?何かいやなことを忘れたい?すでにある程度効果が実証されているゲームもいくつかあるので、それをもとに選んでもいいでしょう。

一番スタンダードな落ち物ゲーム、テトリスにはおどろくべき効果が続々と報告されています。テトリスが最初に販売されたのは1984年。販売から30年以上たった今でも高い人気を誇り、プレイした人数は世界中で5億人を突破しています。しかし、テトリスにはPTSDの症状を抑える効果があるとわかったのは最近のことです。

PTSDには、フラッシュバックというつらい症状があります。時間、場所関係なく、ショッキングな場面がいまそこにあるかのように何度も再現されてしまいます。記憶は、その経験をしてから6時間以内に定着するといわれています。テトリスを使った研究ではこんな結果が報告されています。

かなりショッキングな写真を見せた後、数時間以内にテトリスをプレイしたグループとしなかったグループとでは、ゲームをプレイしたグループは、しなかったグループに比べて、フラッシュバックの回数が半分くらいで、そのほかの症状もかなり低く抑えられていました。

かといって、記憶が定着するのを阻害するというわけではありません。写真を見たという記憶は消えないのですが、PTSDの症状はでないのです。これは、いやな記憶が視覚処理の回路をのっとる前に、大量の視覚的注意を要するテトリスをプレイしたことで、記憶が視覚処理に定着するのをふせいだと考えられるのです。

言い換えれば、テトリスにはいやな記憶にたいして、いい意味で鈍感にしてくれるのです。これは、日常生活でも役に立ちそうだと思いませんか?日常で不快な目にあったとき、何かストレスを感じるようなことがあったら、テトリスを少しプレイすれば、気分がスッキリするのです。

他にも、判断力や情報処理能力を磨きたければ、スピード感のあるアクションゲームやレースゲームがおすすめです。不安や怒りといった、扱いにくい感情をコントロールするには、アクションアドベンチャーゲームが向いています。短時間でいくつもの危機を乗り越え、チャレンジを繰り返すゲームは、プレッシャーに強くなり、怒りや恐怖などの感情を上手にコントロールできるようになります。

また、ジャンルに関係なく、ビデオゲームは創造性が向上にすることがわかっています。エンタテイメント的要素の強いビデオゲームは認知能力を高めてくれます。これは認知症にゲームが有効なことと重なりますね。

他にもたくさんのゲームがありますが、自分がゲームをやった後で、どんな感情を得たいかを大切にしましょう。また、脳は新しい刺激を与えると発達するといいますから、なるべく今までやったことのないタイプのものにチャレンジしてみましょう。

自分にぴったりなゲームを見つける方法とは

ゲームに様々な効果があるのはよくわかりましたが、日本には何百、ひょっとしたら何千、何万種類ものゲームがあります。一人でプレイするものから、対戦型、チームプレイを必要とするものまで、ほんとうに多種多様です。特にゲーム初心者は何をやったらいいのか迷ってしまいます。

ざっくりですが、だいたい次のようなジャンルに分かれるようです。

・シューティングゲーム
STGやSHTと表記されることも多いです。戦闘機や銃で、敵や的をうつことが多いです。

・アクションゲーム
ACT、ACGと表記されます。キャラクターを操作して、ゲームの中でおこるアクシデントに立ち向かうタイプのゲームです。

・アドベンチャーゲーム
ADV、AVGと表記されます。コマンドを入力したり、選択をしたりして、なぞときをするタイプです。

・ロールプレイングゲーム
RPGと表記されます。ゲームに物語性があり、ゲームのキャラクターが困難な状況に立ち向かうことで、キャラクターが徐々に強化され、物語のエンディングへ向かっていきます。

・パズルゲーム
PZL、PUZと表記されます。出された問題を考えながた解いていくタイプ。ここから派生したアクションパズルゲームに、『テトリス』『ぷよぷよ』などがある。

・シミュレーションゲーム
SLG、SIMと表記される。会社や軍隊のような組織のトップや一因となって、敵を倒したり、会社の発展に貢献したりする。STGのように、直接的な攻撃をすることはない。

上記のほかにも音楽やスポーツの要素が加わり、細かい分類があります。最近ではSNSでもたくさんのゲームが出ています。

他にも様々なタイプのゲームがありますが、やはりまずは誰でも知っているような、人気のあるゲームから試してみるのがいいでしょう。最初からあまりマニアックなゲームだとあわない可能性が高くなります。

スマホなどのゲームアプリには、簡単な説明がついていたり、プレイした人の評価が記載されていることも多いので、参考にしてみましょう。ただ、いきなり名前も知らないようなマニアックなゲームより、テトリスのような、ルールがシンプルで人気の高いもののほうがプレイしやすいでしょう。

手っ取り早いのは、やはり身近にいるゲーマーに教えてもらうのがいいでしょう。とくに、仲良くなりたいと思っている人がいたら、ちょっと勇気をだして一緒にやらせてみてはどうでしょうか?ゲームは人の距離を縮めてくれる力をもっているのは、もうおわかりだと思います。

あまり多くはありませんが、性格から合うゲームを探し出す、適正ゲーム診断のようなものを掲載しているブログもあります。ただ、個人の作ったブログですし、お遊び的要素も強いので、100%あてになるとはいえません。大筋であたっていれば試してみるのもいいでしょう。

ひとつ注意してほしいのは、ゲームには『課金』という制度があります。アプリなどにお金を払えば、あとは無料でプレイできるもの、まったく無料のものもありますが、プレイしている最中にアイテムなどを集める過程で課金が発生することが多いので、そこは頭に入れておいてください。万が一、そのゲームにはまってしまったら、知らない間に課金が膨大な金額になっていた!なんてことにもなりかねません。実際、小学生がゲームの課金に20万円以上つぎ込んでいたという事例もあるのです。

困難に打ち勝つ!仕事にもゲーム精神を応用しよう

ゲームの大きな魅力の一つに『ミッションをクリアする』というのがあります。ミッションをクリアするには、作戦を立てなくてはなりません。一人でやるゲームもありますが、オンラインゲームや、ソーシャルゲームでは複数の人と作戦の元、同じミッションに取り組むこととなります。

英語にはgamification(ゲーミフィケーション)という言葉があります。ゲーム化するという意味のgamefyから派生した言葉です。ゲームのもつ面白さ、人を熱中させる魅力を仕事や生活に応用しようという概念です。

海外ではすでに定着している言葉ですが、日本ではまだそれほど知られていません。日本の会社は滅私奉公といいますか、根性論で部下を叱咤激励して、売り上げを伸ばそうとしている会社がまだまだたくさんあります。しかし、それが災いして体調を崩したり、鬱など深刻な精神疾患をわずらう人が後を絶ちません。

こういった会社の雰囲気を180度変えることができるのが、ゲーミフィケーションなのです。ゲームはミッションをクリアする過程で、敵を倒したりアイテムを集めたりしてポイントを稼いだりします。最初は中々クリアできなくても、少しずつづつけて行くにつれてスキルが向上し、やがてはミッションをクリアできるようになります。

スキルが上がり、自分で成長していることが実感できると、それが自身につながり、もっと学びたい、上のステージへ行きたいと思うようになります。その心理を仕事に応用するのです。人には何かを学び、習得したいという欲があるのです。ゲームはその欲を上手に利用しているといえます。では、具体的にはどうやったら仕事にゲーミフィケーションを取り入れることができるでしょうか。

あなたの会社が、ある商品を去年は30,000個売ったとします。今年の目標は50,000個です。もうゲームは始まっています。50,000個の商品を売る。これが会社のミッションです。去年より20,000個多く売るのですから、かなり綿密に計画の練らなくてはいけません。ここで、ただ部下を叱責するのではなく、楽しいと思う要素、行動を起こすモチベーションを上げる要素を盛りこむ、いかにゲーム化がうまくできるか考えなくてはいけません。

売り上げのグラフを壁に張る、チームわけして売り上げを競わせる、これもゲーム化の一つではありますが、朝礼や会議で売り上げの悪い人を攻め立てるばかりでは雰囲気が悪くなりますし、ゲーム化の意味もありません。売り上げ成績が悪いのは何が原因なのか―悪者は何なのか考えて、それを全員でやっつける必要があります。困難を一緒に乗り越えるという経験をすると、人はいっそう結びつきが強くなるのです。

営業は、ゲームで言えば同じミッションをクリアする仲間であり、いわば一人一人がヒーローです。会議は悪者を倒すための作戦を練る場所、くらいの感覚でいたほうがいいアイデアが浮かぶかもしれません。

ミッションを始める前に、みんなで少しづつ、お金を出し合ってもいいでしょう。売り上げに大きく貢献した人を祝って、そのお金で盛大に呑んで大騒ぎするのです。お酒も人間関係を円滑にしてくれますし、小額でも、お金が絡むと人間がんばりますからね。

ゲーム精神は日常生活にも応用可能。その方法とは

ただの気晴らしの手段だったり、時には有害な影響をあたえるというレッテルを貼られていたゲームですが、じつは想像以上の可能性を秘めていたことがおわかりいただけたでしょうか?

ゲームによってもたらされる恩恵をざっとまとめると以下のようになります。

・ストレスをやわらげる
・不安を取り除ける
・肉体的苦痛を遮断する
・集中力注意力が身につく
・人とのつながりを強化できる
・複数のことを同時にこなせるようになる

細かくあげていくと、きりがないのでこのへんにしておきますが、生活の質をかなり向上してくれることがわかります。取り入れない手はありませんね。でも、あなたの身近な人がすべて、ゲームをするとはかぎりません。ゲームの効果をあなたが一方的熱弁しても、空回りしてしまう可能性もあります。

でも、大丈夫。ゲームをしなくても、ゲーム的な要素を日常生活にもりこむことは可能です。あなたの家族や友人がゲームをしない人でも、あなたがさりげなくゲーム的要素を取り入れるようにすればいいのです。

たとえば、あなたのパートナーで、子ども、友人など、もっと距離を近づけたいと思う人がいるとします。それに有効な手段は『ミラーリング』『シンクロ現象』です。一緒にゲームをしなくても、これらの効果を得る手段はたくさんあります。

・歩幅をあわせて一緒に歩く
・おなじ音楽を聴いて同じ振りをする
・重い荷物を一緒に運び出す

など。とくに荷物を運ぶ作業は効果的です。この作業は相手の動きを正確に読んで、荷物を落としたり、相手が怪我をしないように、相手の心理と動に最大限の注意を払います。このことが、強力なミラーリングを引き起こすので、新密度が増すのです。転勤族の家族は円満な家庭が多くなるのでしょうか?

ゲームの特徴として、ミッションをクリアしたり、敵を撃破すると点数がつきます。これも日常生活に応用できるのです。

人にはポジティブな感情とネガティブな感情があります。人間できればポジティブな感情を常に感じていたいですが、そうもいきません。それに、ネガティブな感情を発する出来事、たとえば身近な人の死、突発的な交通事故などを経験し、乗り越えるとその人はポジティブな考え方や行動を起こしやすくなるといいます。ネガティブな感情も必要なわけです。しかし、あまり多くのネガティブな感情を感じ続けると、人生がつらいものになってしまいます。

そこで、いまの自分の感情をスコアリングするのです。ネットで検索すれば、感情をスコアリングする技術がいろいろあるのがわかるはずです。自分にあうものを選んでやってみてください。

共通して言えるのは、ポジティブな感情が多すぎてもあまりよくないようです。比率としては、ポジティブ3、ネガティブ1くらいがちょうどいいといわれています。

あまりにネガティブなほうへ偏っていたら、今の自分になにが必要かを考えることができますね。できれば家族や親しい友人といっしょにやってみたほうがいいでしょう。強力が得やすくなりますし、ゲームをクリアするのには、仲間は必須ですからね。

親子のコミュニケーションの改善にも効果を発揮!

娘や息子が最近自分を避けるようになった…。子どもに反抗期はつきものだし、仕方ないとはわかっていても、やっぱり子どもとコミュニケーションがとれないのは悲しいですよね!

ゲームは親子のコミュニケーションも円滑にしてくれます。最初は二人でコントローラーを持つだけでいいのですから、直接言葉をかわすよりはハードルは低いのではないでしょうか。。ゲームの種類は対戦型でも二人で共通の敵を倒すようなものでもかまいません。こういったゲームを二人でやると、だいたい同じところで笑ったり、眉をひそめたりと、ゲームに対し同じような反応を示すようになります。

驚いたことに、呼吸や鼓動も同じパターンにななってきます。この現象を『ミラーリング』といいます。そのうち、脳波までもが同調し、完全にシンクロ状態となるのです。

人間は、無意識のうちに他人の模倣をしています。恋愛関係にある男女もそうですが、親しい友人や、偶然となりに座っただけの人でもミラーリングは発生し、そのうちシンクロ状態になるのです。コンサートでは、ファンが同じような動きをしたり、同じような声を出したりします。これもシンクロ状態といえます。

しかし、ゲームでおこるシンクロ状態は他の行動とは比べ物にならないくらい強烈で早いのです。なぜでしょうか?

ゲームをしているとき、人は『フロー』という状態になっています。このフローは、特定の行動に全神経を集中させている状態のことです。ゲーム以外でも、自分が本当に好きな趣味や仕事に打ち込んでいるときもこの状態にはいりやすくなります。今自分がやっていること以外には何も目に入らなくなるし、気になりません。何かに打ち込んでいたら、あっという間に時間が過ぎていた、という感覚はだれにでもあると思いますが、これもフロー状態のなせる業です。

二人でゲームをすれば、二人同時にフローの状態におちることになります。フロー状態でミラーリングが発生すれば、動きや感情もさらに同調しやすくなります。ゲーム中は感情が高まりやすく、感情のシンクロもそれに比例して高くなり、強い結びつきができるとかんがえられるのです。

これと同じような研究結果は、世界各国から続々と報告されています。他には、自閉症の子どもが家族とゲームをすることで、強調性がうまれ、家族との関係が良好になるそうです。また、同じ場所で一緒にゲームをする家族は、連帯感が強いという報告もあります。

お子さんとの関係に悩む親御さんには吉報ですね。ゲームなんて…と眉をひそめている場合ではありません。特に、子どもが毎日ゲームばかりして困っている、というご家庭であれば、ゲームを取り上げるより、とりあえず一緒にプレイしてみましょう。

実際に、ティーンエイジャーの娘さんを持つお父さんがゲームを介してコミュニケーションをとることに成功した例もあります。ゲームを一緒にプレイすることで娘さんと会話できるようになり、娘さんが学校でいじめというほどではないが、ちょっとしたからかいの種になっていることを知ることができ、娘さんを励ますことができたそうです。年頃の娘をもつお父さん、ぜひ試してみてください。

人付き合いが苦手な人こそゲームを!その理由とは

最近は、上手なコミュニケーションのとり方の指南書のような本をよく見かけます。実際に手に取った人もいるのではないでしょうか?しかし、実践するのは難しい…と思った人も多かったのではないでしょうか?

実はもっと簡単に他人と、しかもちょっと苦手なタイプとでも仲良くなれる手段があります。ゲームを利用するのです。…そんなバカな!と思いますか?でも、これも世界中で実証されつつあるのです。

任天堂のwiiスポーツのボーリングゲームを使った、シンガポールでの実験です。シンガポールでは、老人と若者の交流の場がほとんどなく、お互いを極力避けようとする傾向があり、社会問題となっているそうです。老人は社会から孤立しがちになり、若者は老人から様々な教訓を学ぶ機会がありません。これはシンガポールだけでなく、他の国でも同じことかもしれませんが。

シンガポールには、長年にわたってゲームが日常生活に与える影響を研究しているチームがあります。その研究者たちが老人と若者にペアを組んで、ボーリングゲームを毎週30分、六週間プレイしてもらったところ、相手に対する偏見がほとんどなくなり、どんな老人とでも、若者とでも友人になれる気がしてきたという回答を得ることができました。

ゲーム以外にも、会話したり、一緒に工作したりしても距離は縮まりましたが、お互いに対する嫌悪感を払拭するにはいたりませんでした。共同作業をした相手への理解はできても、老人全般、若者全般は嫌いなままだったのです。劇的な変化をもたらしたのは、ゲームだけでした。

また、国籍も宗教も違う男女が結婚しましたが、お互いの両親は互いへの嫌悪感からまったく交流を持とうとしませんでした。二人は少しでも距離を縮めようと、フェイスブックのゲーム『ファームビル』でブドウの栽培をはじめました。最初にはじめたのは奥さんで、両親と夫とやっていました。このゲームは、フェイスブックで知りあった『お隣さん』に手伝ってもらうことができるシステムになっています。

このゲームに夢中になった奥さんの母親が、収穫を早めるために知り合いに片っ端から声をかけていたのですが、ある日とうとう、夫の母親を巻き込んで作業するようになりました。このゲームを通じて協力して作業を行った結果、いまでは良好な関係が築けているということです。

SNSを通じて大勢の人とプレイできるゲームはソーシャルゲームと呼ばれます。ソーシャルゲームの強力な影響力は、どこからくるのでしょうか?研究の結果、以下の3つの作用があることがわかりました。

①共通の基盤をつくる
②親密感を高める
③相互依存を形成する

の3つです。

共通の基盤というのは、他者と経験を共有して共通の話題をつくることです。ソーシャルゲームはこのきっかけを簡単につくることができます。親密感を高めるというのは、ゲームがきっかけで、自分や自分のまわりのことを徐々に話すことができるようになり、ゲームを通じて頻繁に連絡をとりあうようになります。そして、交流が深まるにつれ、絆が深まり、相手が困っているとわかると、SNSを通じて手を差し伸べるようになるのです。

これがやがて、実生活でもお互いを助け合うようになってくるようになるのです。友人を作るのが苦手な人は、試してみる価値があるのではないでしょうか。

意外!?暴力的なゲームにも驚くべき効果が

ゲームに関する疑問でも特に多いのが、暴力的シーンを含むゲームが人(特に子ども)に与える影響です。しかし、これに関しても、近年驚くような研究報告がありました。

暴力的ゲームは、人の道徳心やモラルに関する感受性を高める効果があるというものです。いったい、どういうことでしょうか。

この研究に使われたゲームは、実験の対象となった人に、テロリストとして国連平和維持軍と戦うという内容のものでした。このゲームをプレイした後の被験者は、ゲームの中とはいえ、人を撃ち殺したことに罪悪感を覚え、自分のやっていることは悪いことだと認識します。その反動で、道徳心が高まったものと考えられるのです。

他にも、アメリカでは戦地から帰還した兵士に戦闘ゲームをさせたところ、悪夢を見なくなりなったということです。また、アクション型ゲームを行う前と行う後で、多くの物の中から、特定の物を見つけ出す、というテストを行ったところ、ゲームを行った後では、正解率が格段によくなるという結果が出たそうです。このことから、アクションゲームには、脳の知覚力や注意力を高める効果がある可能性が高いということがわかったのです。

さらにアメリカでは、暴力的なゲームを販売している店のある地域では、販売をしていない地域よりも暴力事件が少ない傾向があるというデータもあるそうです。これは、ゲームがストレスのはけ口になり、精神的な安定を保つことができているという見方ができるのです。実際、この類のゲームをやっている少年に話を聞いたところ、実生活で暴力を使おうとは思わないし、暴力的な映画やTV番組には興味がないと答えたそうです。

実際、ここ数年ゲームの暴力的描写は年々リアルになってきているにもかかわらず、アメリカでは青少年の犯罪は減少傾向にあることがFBIの調査で明らかになっています。少年犯罪が起こるたびにゲームの影響が問題視される傾向がありますが、このようなデータを見ると、暴力的シーンがあるというだけで、短絡的に有害のレッテルを貼るのは少し考えてしまいます。

ただ、これらの結果が決定的な科学的証拠になったということでもありません。暴力的ゲームの子どもに与える影響を心配する声にもある程度の根拠はあるのです。暴力シーンを長く見続けていると、子どもは知らず知らずのうちに暴力を学びとってしまうというという報告もあります。

また、アメリカでは若者を軍隊に勧誘するために戦争ゲームを使うこともあります。このゲームにハマり、実際の戦闘でも冷静に戦う自身があると答えた若者がいるとか。戦闘ゲームではありませんが、日本でも以前、飛行機をハイジャックした青年が、飛行機操縦を体験できるゲームをやっているうちに、本物の飛行機でダッチロールなどをしてみたくなったという供述をしていました。

いまのところ、どちらもはっきりした科学的裏づけがとれていないのですが、『条件付きでそういったことも起こるかもしれない』というくらいで落ち着いているようです。

ゲームで生活に悪影響が出るのはこんな人

ネットゲーム依存症におちいるメカニズムというのはどんなものでしょうか?

ビデオゲームやオンラインゲームは集中力を高めたり、幸福感を強く感じるなどのプラス面があるのも確かですが、長時間続けると脳内でドーパミンが必要以上に分泌されます。すると体は体調不調を防ぐためにホメオタシスをが働きはじめ、ドーパミンの量を抑制します。ホメオタシスとは、体温の調節など、体の状態を一定に保つ役割をもっています。そうなると、脳はドーパミン不足を感じ、さらにそれを補うためにゲームに没頭するという悪循環を生み、知らず知らずゲーム依存症になっていきます。

ゲーム依存症になるかならないかのカギはゲームをする時間の長さにあるのです。適度な時間であれば、強い飢餓感を感じることはありません。ゲームを長時間やりすぎない習慣を身につける必要があります。どんなことを習慣づけたらいいのでしょうか?

まずは、何のためにゲームをするのか、目的をはっきりさせる必要があります。ゲームをするのに目的が必要?驚く方もいるかと思いますが、まずはここが肝心です。ゲームには様々な種類があり、種類によってゲームから得られる恩恵も違ってきます。ストレスを解消したいのか?集中力を身につけたいか?活力を取り戻すためか?理由は人それぞれでいいと思います。ただ、目的によってはまずいものもあります。

ゲームをするときに一番まずい目的は、現実逃避です。いやなことがあって、何も考えたくない、人に会いたくない、といった理由でゲームを始めるとどうしても長時間ゲームをすることになってしまいます。そうなると、先ほど説明したような悪循環におちいってしまう可能性が高くなってしまいます。

ゲームをする目的をはっきりさせるためには、ゲームを選ぶことも大事です。あなたには、お気に入りで、しょっちゅうプレイしているゲームはありますか?それをやるとどんな恩恵が受けられるか、考えたことはありますか?そのゲームをやった後、自分がどんな感情を持っているか思い出してみてください。

最近は、子どもがゲームに没頭して勉強しない、友達と遊ばないと嘆く親が増えているようです。お子さんがゲームをする場合は、やはり家庭でしっかりとルールを決める必要があります。

お子さんがどんなゲームで遊ぼうとしているのか、まず親がチェックする必要があります。店で売っているゲームには対象年齢などを示すラベルが貼ってあるので、選ぶ目安にすることができます。しかし、オンラインゲームはそういったものはありません。18歳以上禁止と明示して、セキュリティをかけているゲームもありますが、子どもによっては、それくらいは軽々突破してしまう子もいるでしょう。

だからといって、闇雲にゲームを禁止しても、隠れて別の場所でやってしまいます。そうなると、さらに親の目が行き届かなくなります。まずは、ゲームについて子どもがどう思っているのか聞いてみたり、子どものお気に入りのゲームを一緒にやってみるなど、ゲームに対して理解を深める努力をしましょう。また、時間制限を設けるのも大事です。時間制限を破ったら、罰することも必要です。毅然とした態度で臨んでください。

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