Month7月 2016

ゲーム脳に科学的根拠なし

それにしても、なぜ日本ではゲームは悪いものというレッテルが貼られてしまったのでしょうか?ゲームが出回り始めたころは、ゲームをする子どもとゲームをやったことのない大人の温度差があったのかもしれません。

しかし、数年前にマスコミで何度となくとりあげられた『ゲーム脳』という言葉の影響も少なからずあるようです。この『ゲーム脳』の起源は、2002年に出版された『ゲーム脳の恐怖』という本にあります。日本大学文理学部体育学科の教授による著書で、大まかな内容は、ゲームをしている人の脳は、認知症をわずらっている人と同じ状態になっているというものです。

この教授の実験方法は、教授が独自に開発した脳波計を使用して脳波を計測したもので、ゲームをする人の脳はβ波が低くなっているとの結果を得たのです。しかし、この計測方法自体にかなり問題があったようです。

まず、この脳波計は、教授独自に開発したもので、医療機としての認可がおりていませんでした。さらに教授の言うβ波の低下が認知症患者の脳と同じというのも、教授独自の見解であり、一般の認知症とは見解が大きく異なるものです。

若者が何か事件を起こすと、この教授のもとへマスコミ関係者が意見を求め、それがテレビなどで放映されるので、ゲームと若者の犯罪には関連性があるという印象が強くなったという一面があるのです。

その後、脳トレを開発した教授から、ゲームで脳が退化することはありえない、と真っ向から批判されたり、教授の専門が運動生理学であり、脳神経に関しては素人であるなど、多くの非難をうけました。結局その後は論文も発表されなくなり、いまでは逆に適度な時間のゲームは脳にいいということが明らかになってきたので、いまとなってはほとんど都市伝説です。

そして、ゲーム脳と同じくらいのインパクトがあるのが『ネトゲ廃人』ではないでしょうか。ネットゲーム依存症におちいって、日常生活に支障をきたすほどゲームに熱中してしまう人のことをさします。

一日中部屋に引きこもってゲームばかりやっているうちに、学校へ行かなくなったり、仕事を失ったりする人がいるのは事実です。中には、育児放棄や、殺人事件も起こるなど、深刻な事態になった例も報告されています。

しかし、これをゲームのせいにするのは間違いです。ゲーム自体には害はほとんどありません。バランスの問題です。

ゲームが脳にいいとはいっても、一日中座りっぱなしで、ろくに食事もとらずに同じ姿勢でゲームに興じてれば、体のどこかに不調を感じるのは当たり前ですし、体の具合が悪くなれば、健全な考え方ができなくなるのも当然といえます。しかし、ゲーマーがネットゲーム依存症になる割合は、ゲーマー全体の人数からみても、ごく少数です。大部分の人はゲームと日常生活の両立がきちんとできています。一般のゲーマーはゲームをすることで精神のバランスを保つことができたり、集中力が高まったりと、むしろ日常生活にいい影響がでているのです。この差はどこからくるのでしょうか?

医療設備にゲームが加わる日も近い?

海外ではゲームのリハビリ効果は高い評価を受けていますが、日本ではゲーム中毒や、ネトゲ廃人など、マイナスなイメージが付きまとったこともあるせいか、医療現場への導入はあまり進んでいませんでした。

しかし、最近になってようやく、医療施設や介護施設にゲームを導入する動きがでてきています。ゲームを利用したリハビリ効果の研究報告もかなり増えてきました。高齢者むけゲーム機の開発、販売・レンタルに力を入れる業者も増えてきました。

ゲームを導入した介護施設のHPを見てみると、いまは多種多様なゲームが開発されていることがわかります。まるでゲームセンターかお祭りの縁日の写真でも見ているかのようです。

ゲームを楽しんでいるのはすべてお年寄り。こころなし、女性が多い気がします。実際に遊んでいるお年寄りに話しを聞くと、「楽しい」「夢中になる」「他の人に負けたくないので、ついがんばってしまう」という声が続々ときこえてきます。こうした日本のお年寄りの姿は海外のニュース番組でも取り上げられ、大きな話題を呼んでいます。

実は、10年ほど前にゲームをリハビリに使おうとした介護施設もあったのですが、そのときは失敗に終わっています。その頃はまだ研究がそれほど進んでない状態でした。ゲームを導入した施設も、置いておけば高齢者が自分から遊ぶだろうと思い込み、積極的に働きかけることはしませんでした。結果、その存在はすぐに忘れ去られ、物置と化してしまったそうです。そのときの失敗もふまえ、医療関係者とゲーム会社が共同で開発した結果、最近になってゲームの医療への転用への糸口が見え始めてきたのです。

日本では業務用のゲームを土台にしたゲームの開発が盛んですが、海外ではどうでしょうか。海外のリハビリ用ゲームはビデオゲームの開発が中心となっています。特にアメリカがこの分野に力をいれています。例としては、飛行機の操縦を体験できるシミュレーション型のゲームが開発されています。画面を見ながら飛行機の操縦を体験することで手足を動かすことで認知機能の向上が期待できるそうです。

どんなにリハビリが必要でも、理論で患者を説き伏せることは、ほぼ不可能です。患者本人の心が動かなければ、体も動きません。ほんの少し手足を動かすだけで、これほど大きなワクワク感や高揚感を感じられるレクリエーションは存在しません。ゲームは心身の健康を保つツールとして大きな可能性を秘めているのです。

日本の病院でのゲームの医療現場への導入はまだそれほど進んでいませんが、海外でゲームの医療転用が盛んになってくれば、日本でも医療設備としてゲーム機の導入に医療補助費が認められる可能性がでてきます。

スマホの普及で、オンラインゲームは以前よりも身近な存在になってきています。無料のオンラインゲームもかなりの数にのぼります。医療費節約のために、国がゲーム推奨する可能性もゼロではありません。病院へ行って、抗うつ錠の代わりにゲームを処方されたり、リハビリ室の大半をゲーム機が占めるといったこともあるかもしれません。

努力・ガマン不要!楽しみながら続けられるリハビリ

歳をとると脳が衰えるばかりでなく、筋力や体力も衰えてきます。これに伴い、お年よりは骨折などの怪我をしやすくなります。当然のことながら、治療とともにリハビリが必要になってきます。

リハビリは理学療法士や作業療法士の指示に従って、日常生活に必要な動作ができるように体を動かす訓練をするわけですが、それ以外にも、様々な薬を飲んだり、注射をされたりと、体力の弱ったお年寄りには大変なストレスがかかります。

身体機能回復に必要とはいえ、もっとお年寄りの負担を軽くする方法はないものか?それよりも体の機能が衰える前に何か対策はたてられないか?ということで試験的に導入されたのが『ワニワニパニック』でした。モグラたたきのようなゲームで、ゲームセンターでよく見かけます。

リハビリに来るお年寄りにこれで遊んでもらい、二ヶ月ごとに身体能力を計測しました。ただ、最初は中々結果がついてこず、関係者も不安をおぼえたようです。もうダメか…。という雰囲気が漂いはじめましたが、8ヶ月目にようやく結果が出たのです。この結果をもとに、リハビリテーションとエンターテイメントをあわせた『リハビリテイメント』を目的としたゲームが作られました。

この『リハビリテイメント』を使用した検証結果を国際学会で発表したところ、会場中から大きな拍手がわきおこったそうです。当時のリハビリは苦痛をガマンしながらはを食いしばってやるしかないものでした。リハビリを受ける側には苦痛が伴い、指導する側の療法士も気が重かったはずです。しかし、『リハビリテイメント』のコンセプトは、それまでの常識を根本から覆しました。

それが、ゲームを導入することによって明るく楽しく、お年寄りが自主的に楽しみながらリハビリすることが可能になったのです。療法士の精神的ふたんもかなり軽減されます。

その後、様々なゲームが開発され、ワニワニパニックのほかに、太鼓の達人をリハビリ用に改良したものや、スピードホッケー、パチスロや、プリクラなども導入されるようになりました。リハビリですから全部無料です。

このゲームを応用したリハビリは海外にも知られることとなり、オランダの研究機関から共同研究の申込みも受けたそうです。オランダのお年寄りにこれらのゲームで遊んでもらったところ、一人残らず「面白い!」という評価をもらったそうです。また、オランダの研究者たちを日本のゲームセンターに案内したところ、(オランダにはゲームセンターがない)みんな大はしゃぎでゲームに興じたそうです。

ちなみに、オランダに送ったのはワニワニパニックのほかに、ドキドキヘビ退治というゲームで、お年寄りが座ったまま、次々に出てくる蛇を踏んでいくもので、お年寄りが絶対に転倒しないよう、安全に配慮した作りとなっています。

リハビリは、継続しなければ効果は出ません。しかし、苦痛を伴うリハビリはよほどの意志力がなければ、続けていくのは困難です。ゲームは、苦痛を感じることなく楽しみながら長く続けられるリハビリを可能にしてくれるのです。

脳トレだけじゃない!認知症予防にも効果あり!

ゲームはいまや、子どもや若者のものではなく、50歳以上の人にも飛躍的に利用者が増えてきています。数年前に、日本で『脳トレが』販売されたことにより、脳の活性化にいいゲームがあることが知られるようになりました。いくつになっても心身ともに若々しくいたい、というのは誰でも同じですね。まして、日本は世界にさきがけて超高齢者社会になろうとしています。自分の面倒は、最後まで自分で見なくてはならない、という危機感もあるのでしょうか。

海外ではゲームに脳を若返させる効果があるという研究はいくつも報告されています。

その例をいくつかあげてみます。

50歳以上の人にゲームをしてもらったところ、認知能力、集中力が向上した。

50歳以上の人を①ゲームをしないグループ、②10時間クロスワードパズルをするグループ、③TVゲームを10時間するグループ、④テレビゲームを14時間するグループにわけて、1年後、脳機能の変化を測定したところ、
10時間以上ゲームをした人は脳が3歳若返った。
14時間以上ゲームをした人は脳が4歳若返った。

との結果が出たそうです。

高齢者の交通事故は、交差点が多いことが指摘されています。これは、加齢による「視界狭窄」が原因といわれており、お年よりは前方しか見ることができず、周囲への注意がおろそかになってしまうことが原因となっているようです。

ゲームをやり続けることで、脳の処理速度が上がり、それに伴い視野が拡大したと考えられるのです。また、TVゲームをやった高齢者は、クロスワードパズルをやった高齢者よりも、頭の切り替え、新しい情報への対応能力が向上し、認知能力は1.5~7倍近く向上した高齢者もいたということです。

以上は海外の研究ですが、日本でも認知症予防、進行防止にゲームを取り入れるところがふえてきています。海外では、すでに販売されているゲームを使用することが多いようですが、日本では高齢者用に開発されたものが使用されていることが多いようです。

内容も最初に出た文字と次に出た文字が違ったらボタンを押す、同じだったら押さない、2桁の足し算、引き算をなるべくはやく計算する、といったものがメイン。コントローラーもシンプルにつくられています。しかし、70歳を過ぎてからはじめた人でも、敏捷性がはじめる前よりも明らかに向上するといいます。
お年寄りが集団で額に汗をかきながら、必死にゲームをやっている…。想像すると少し笑ってしまいそうな光景ですが、こうした競争意識も脳機能の向上に一役かっているようです。

はっきりいえるのは、脳は意識的に使わなければ衰える、ということなのでしょう。70歳を過ぎたお年寄りでも目に見えて脳機能が向上するということが明らかになったのですから、物忘れがひどくなった、周辺のことに気を配れなくなった、という自覚が出てきたら、ためしに簡単なゲームからはじめてみてはどうでしょうか?

いまはインターネットさえつなげれば、無料でできるゲームはいくらでもみつかります。

ゲームで病気を撃退?その方法とは

ゲームの役割は子どもの勉強ばかりでなく、医療の分野にも進出してきています。

難病の治療には、つらい治療を長期に渡って続けなければならないことがあります。とくに、自分がいまどんな状態なのか伝えるすべをあまり持たない子どもにとってはさらにつらい状況です。これを少しでも打開しようとして作られたゲームがあります。

ベンズゲーム(Ben’s Game)といい、主人公の男の子がスケボーにのり、ガン細胞を次々とやっつけていくゲームです。ガンを患っている子どもにこのゲームをやってもらうことで、自分自身のガンもやっつけていこうという勇気をもってもらう目的があります。すでに9カ国で翻訳され、導入されています。

このゲームは、スケボーに乗った主人公がガンに効き目のある薬を集め、がん細胞や副作用と戦う(ゲーム中では怪物の形をとっている)内容になっています。このゲームをプレイすることで、子どもは自分が飲んでいる薬にどんな効果があるのか学習するばかりでなく、自分の病についても学ぶことができるのです。

子どもに薬の効用をいろいろ書いた能書きやパンフレットを渡しても、理解してもらうのには時間がかかります。しかし、ゲームであれば子どもは興味を持って学んでくれ、病気とたたかう勇気をもつことができるのです。

べつの機関では8つの難病に関する知識をゲームで学べるようにしたゲームサイトを開設しました。質問に答えながら、治療法や痛みが出たときの対処方、大人に自分の状況をわかってもらうにはどうしたらいいか、などを学習できるようになっています。

ゲームは子どもの患者にだけ効果を発揮するものではありません。大人にも有効です。十度のやけどの痛みを緩和するのには、たいていモルヒネが使用されます。が、実はあまり有効な手段ではありません。これは長い間、医師たちを悩ませてきました。

それを解決してくれたのが、やはりゲームでした。このゲームはヘッドセットをつけて、コントローラーを操作し、3Dの氷の世界を探検するというゲーム。雪球をつくって、投げて遊んだりすることもできます。

一番痛みがひどくなる時期の患者にこのゲームをやってもらったところ、痛みを30%~50%軽減するという効果があることが判明したのです。これはモルヒネでは得ることのできない効果です。痛みは命を守るために必要なものではありますが、治療の邪魔になるのもたしかです。しかし、痛みを患者から遠ざければ治療はずっとやりやすくなります。
痛みは人の感じる感覚の一つですが、人の感覚は痛みのほかにもたくさんあります。人の感覚はつねに脳に自分の感覚を伝えようと必死です。逆をいえば、脳の注意を別の方向に向ければ痛みはそれほど感じなくてすむのです。その役割をはたしているのがゲームだったのです。

海外では患者に大してだけではなく、医療に従事する側の教育にもゲームを使用しています。アメリカでは、ゲームキューブを使用病院があるそうです。救急救命室で働く医師や看護師の訓練にゲームを使用する病院も出てきています。

日本では、ゲームを医療行為に利用するという考え方がまだ根付いていません。患者の苦痛を和らげ、医師も治療しやすくなるのなら、早く日本でも普及してほしいものですね。

子どもの学力が伸びるゲームとは?

「ゲームばかりやって、脳に悪い影響が出ないのか?」と不安に思っている親も多いと思います。また、勉強する時間が減るので、学校の成績が落ちるのでは?と心配はつきません。実際にはどうなのでしょう?

レクリエーション以外の目的や効果を持ったゲームを『シリアスゲーム』と呼びます。アメリカでは、かなり以前から定着している言葉です。しかし、日本で知られるようになったのは、ごく最近で、『脳トレ』が世に出てきてからは少しずつすられるようになってきました。日本はゲーム大国とよばれる割には、ゲームの学術的研究は、世界に比べて遅れをとっているのが現状です。

しかし、シリアスゲームを子どもの学習に役立てようという試みは日本でも少しづつふえてきています。試験的にゲームを学習に取り入れている学校もあります。

世界史の授業に『大航海時代online』を用いて授業をした生徒と用いなかった生徒の授業の理解度、学習意欲を様々な角度から検証したところ、ゲームを用いた生徒のほうがよい成績を収めたそうです。また、教育専用のテレビゲームを使用して、成績の悪かった子どもに勉強させてみたところ、やはり成績が向上した、勉強意欲が上がったという結果がでたそうです。

他にも子どもの勉強の教材を作る会社でも、ゲーム機のような教材で漢字や算数の勉強ができるものを販売しています。シリアスゲームを開発する会社、研究者も増え始めています。学生が作る教育用ゲームソフトのできを競うコンテストも行われています。

コンテストの優秀賞をとったゲームを小学生にプレイしてもらったところ、ここでも成績の向上したという結果がえられました。ただ、被験者となる子どもの人数が少なかったので、効果があったと断言するには根拠が少し弱いようです。

それよりも、子どもに同伴した親の反応が劇的に変わったのです。ゲームを開始する前に親にアンケートをとったところ、ゲームを勉強に利用することに対して懐疑的だった親が7割を占めていました。ところが、実際に子どもがゲームをしている姿を見たあとでは、利用するのはいいことだとする親が9割をこえていたのです。

ゲームは子どもの好奇心を刺激し、楽しみながら知識を増やせるという従来の勉強方にはない実力を持っています。しかし、ゲームは子どもにとって悪いものという印象はまだぬぐいきれていません。

これは、教育する側にゲームへの理解がまだ浸透していない、というのが原因の一端にあるようです。昔、テレビが普及しはじめた頃、やはり子どもがテレビばかり見て勉強しない、ということが問題になりました。しかし、今は大人向けの教養番組がたくさん製作されています。

意外ですが、何百年も前、印刷技術が開発され本が大量に出回るようになると、本を読むと目が悪くなるから、読まないほうがいい。という風潮が広まっていきました。今では読書が悪いものだという人は、まずいません。新しいものは受け入れられるのに時間がかかるということなのでしょう。

ゲームをしている子どもの姿をはらはらしてみているだけでは、不安がつのるばかりです。親もゲームをやってみて、そのよしあしを自分で見分ける努力をして、子どもに良いゲーム、悪いゲームを見分ける目を養いましょう。

ゲームは子どもの学力低下を招く?の真実とは

スマホでゲームに夢中になっているのは、子どもも同じです。「ゲームばかりやって、将来、何か悪い影響が出ないのか?」と不安に思っている親御さんも多いと思います。また、勉強する時間が減るので、学校の成績が落ちるのでは?と心配はつきません。実際にはどうなのでしょう?

学校の成績が下がるのを心配して、子どもがゲームをやるのを禁止する親御さんもいるかと思いますが、はたして効果はあるのでしょうか?大変申し訳ない言い方ですが、答えは「効果なし」です。

ゲームが子どもに与える影響は、じつはそれほど多くないのだそうです。たとえば、ゲームをする時間を一時間短縮するとします。しかし、勉強する時間がそれに比例して増えるということはなく、増えたとしてもせいぜい3分間弱なのだそうです。

がっかりしましたか?しかし、冷静に考えてみれば、当然のことかもしれません。今の家庭環境は、インターネットや、テレビなど、子どもの興味のそそるものであふれています。ゲームからそのどれかに移行するだけです。

自分の子ども時代のことも思い出してください。これを読んでいる人の中には、子どもの頃に「マンガを読むとバカになるよ」とか「テレビばっかり見てると頭が悪くなる」といったことを親や先生などの身近な大人に言われたことのある人がいるのではないでしょうか?しかし、自分の同世代の知り合いで本当に社会不適合者になった人、見たことありますか?

1人や2人くらいなら、引きこもり程度はあるかも知れませんが、ほとんどが社会人として普通に暮らしているのではないでしょうか?不景気が長引いている日本では、若者の非正規労働はめずらしくありません。

人間は20歳前後に経験したものをいちばんいいものだと思い込むくせがあるのだそうです。お年寄りが「今の若い者は!」的な発言をするのも、ここからきている可能性が高いのです。蛇足ですが、このお年より特有(?)のぼやきは紀元前の記録にも残っているとか…(笑)

それに、大人になると新しい文化を取り入れるのが苦手になってきます。親にとっては、自分には未知の世界であるゲームに夢中になっている姿が理解できないのは当然のことかもしれません。逆にゲームを子どもに教えてもらうほうが、よけいな対立を生まずにすむのではないでしょうか?
しかし、ゲームそのものに害はないとはいっても、やはりやりすぎれば弊害は起こります。やはり、長時間やりつづければ、心身ともに悪影響が出ます。子どものゲームの時間はどれくらいに設定すればいいのでしょうか?

研究では、1日1時間程度なら、悪影響が出ることはないそうです。勉強に飽きたり疲れたりしたとき、息抜き程度にゲームをするならまったく問題ないと言えます。

ゲームをやる時間は家庭のしつけの領域といえます。まずは親が毅然とした態度で、決めた時間以外やってはいけないということを子どもに言っておく必要があります。子どもが何時間もゲームをやっているようであれば、それは親がしっかりした対策をたてていないのが原因です。

ゲームでスッキリ!ストレス解消!

最近の研究では、ゲームには、ストレスを軽減する効果やストレス体制が強くなるという結果が発表されています。どういうことでしょうか?

ストレスにはコルチゾールというストレスが関係しています。コルチゾールは、血圧や血糖値の数値を高めたり、免疫機能の低下、不妊症を引き起こすこともあります。海馬を萎縮させることもあり、PTSDなどの一因になるとも考えられています。しかし、ゲームをプレイした後では、このコルチゾールの数値が17%も減少したということです。

また、毎日ゲームをする習慣のある人は、ストレスの多い作業をしている最中でも、気分が落ち込んだり、攻撃的になったりすることが少なく、ストレスへの耐性が強くなっていることがわかったのです。この結果に男女差は見られませんでした。

さらに、ゲームを始めた年齢が低いほど、ストレス耐性が強い傾向があるとの研究結果も報告されています。現代では仕事でも日常生活でも、複数の作業を同時に行ったり、今やっていたことを中断して、まったく別のことに瞬時に取りかからなくてはいけなかったりと、瞬時に頭の切り替えをよぎなくされることが多くなっています。これは一つの作業を集中して行ったときの何倍もの疲労を伴い、当然ストレスもたまります。

しかし、ゲームを始めた年齢が低ければ、低いほど頭の切り替えが早くなる、つまり、ストレスを感じにくくなるということがわかったのです。「ゲームばっかりしないで少しは勉強しなさい!」と怒鳴るよりも、一日一定の時間ゲームをする時間を与えたほうが、頭のいい子になるかもしれないのです。ま、限度はあると思いますが…。

幼い頃から?じゃあ、大人になった今では効き目はないのか…。いいえ、大丈夫!がっかりすることはありません。大人になってからだって効果はあるのです。

高齢者に、攻撃的な対戦型ゲームを一定期間やってもらったところ、認知機能がアップしたのです。また、ゲームには、種類を問わず、気分を効用させたり、高揚感や幸福感をアップさせる効果があることもわかりました。

攻撃型ゲームにそんな効果があるとは意外ですが…。実は、最近になって、暴力的ゲームが青少年に与える効果は、それほど大きくない可能性を示唆する研究結果が出てきているのです。

PTSDに苦しむアメリカの帰還兵に対戦型のゲームを毎日やらせたところ、悪夢にうなされることも無く、よく眠れるようになったという回答を得られたのです。どうも、激しいゲームをすることで、感情をぶつけてスッキリさせることができるようです。

そういえば日本でも、70歳を超えるベテランのフリーアナウンサーが『バイオハザード』の熱烈なファンということで話題を呼んだことがありました。普段はとても穏やかな口調で話す方ですが、ゲームに興じているときは言葉遣いがちょっとだけ乱暴になって、意外な一面を見た気がしました。

普段からストレスをためがちな人は、たまにはちょっと過激なゲームをすれば、気分転換になるのかもしれません。

意外と自主規制がしっかりしているゲーム業界

CEROという団体をご存知でしょうか?正式には『特定非営利活動法人コンピュータエンターテイメントレーティング機構』という少し長い名前になります。

ゲームが日本で普及し始めた頃、ゲームの倫理規定はそれぞれの業者にまかされていました。そのため、青少年にふさわしくない表現をもちいたゲームが一部存在していました。

ゲームの自主規制が求められるようになり、発足したのが『特定非営利活動法人コンピュータエンターテイメントレーティング機構』(通称CERO)です。設立は2002年6月です。2003年11月に東京都からNPO法人として認定を受けました。

この団体は日本で販売されるゲームの年齢区分(レーティング)を行い、ユーザーに安心して楽しめるゲームを提供することを目的としており、ほとんどのゲーム会社が会員登録しています。

レーティングはABCDZの5段階に分かれており、ゲームソフトには色分けしたラベルが貼られています。内容は以下の通りです
A…年齢区分が必要な表現、内容は含まれておらず、全年齢対象。ラベルは黒
B…12歳以上を対象とする内容が含まれていることを表示。ラベルは緑
C…15歳以上を対象とする内容が含まれていることを表示。ラベルは青
D…17歳以上を対象とする内容が含まれていることを表示。ラベルはオレンジ
Z…18歳以上のみを対象とする内容が含まれていることを表示。ラベルは赤

この範囲内に収まらない過激な表現があったゲームには、レーティングが与えられません。買う前にチェックしてみてください。また、このほかにも改定前年齢区分マーク、教育・データベース、CERO適合マーク(主に体験版につけられる)、審査予定(販促用につけられ、審査は受けていない)があります。

審査される内容は大きくわけて性表現、暴力表現、反社会的表現、言語・思想関連表現の4つに分けられ、この4つの中でも細かくわけてチェックが行われます。

さらにこのほかにもコンテンツアイコンがあり、以下の9種類があります。
恋愛
セクシャル
暴力
恐怖
飲酒・ギャンブル
犯罪
麻薬等薬物
言葉・その他

これらは、年齢対象の根拠となる表現を示すものです。

審査ながれは以下の通りになります。

①メーカーから倫理審査の以来を受ける。
②依頼されたソフトを複数の審査委員が審査する。
③審査結果をもとに、レーティングを決定する。
④判定結果をメーカーに通知。
⑤メーカーがラベルを貼付、販売開始。

なお、審査委員は20代~60代の幅広い年齢層、職業で偏りの内容構成されています。全員レーティングを行うための訓練を受けています。審査員にゲーム業界の人は含まれません。審査員は常時、HPで一般から募集しています。公正な審査のため、ゲーム関連企業の人は審査員になることはできません。

**************************
貸金業法の改正で消費者金融も安心安全に利用できますよ!
私のおすすめはこちら…http://borrowing-through.com/mobits/
**************************

かなり厳格な審査体制をしいているのがお分かりいただけたでしょうか。日本産のゲームソフトは、こうした厳しい審査をうけて販売されていますし、審査員の中には子どもを持つお母さんもいるので、その点でも安心できますね。

年齢.性別・国境・職業は関係ない!右肩上がりのゲーム人口

日本は言わずとしれたゲーム大国です。日本で開発されたゲームは海外でも高い人気を誇っています。ゲームは世界でどれだけの人がゲームを楽しんでいるのでしょうか?アメリカの調査機関によりますと、モバイルゲームの市場規模は250億ドル。プレイヤーは15億人になるそうです。これは先進国を中心とした数字ですが、他の国でもゲーム市場は毎年拡大傾向にあります。

しかし、なぜゲームはこんなにも世界中に広まったのでしょうか?一つにはインターネットの発達があるのは否定できないでしょう。特にSNSを通じて誰とでもプレイできるソーシャルゲームは大きな広がりを見せています。もう一つは、ゲームの目的が多様化したということがあるのではないでしょうか?日本ではゲームは子どものもの、気晴らしというイメージがあります。が、海外では少し事情がちがってきています。

ゲームが様々な業界に入り込んで、きています。学校、医療、企業の研修など、今まででは考えられなかったような業界でゲームは市民権を獲得しつつあります。賛否両論はありますが、アメリカでは若者を軍隊にスカウトするのに、戦争をテーマにしたシミュレーションゲームを使っていたことがありました。

他にも、韓国の仏教のお坊さんがゲームをしているという例があります。もともと、仏教ではゲームは否定的に捉えられています。修行の邪魔になるという理由からです。しかし、このお坊さんは、毎晩『アングリーバード』をプレイしているそうです。ゲームをすると、とても穏やかな気持ちになれるそうです。

医療の現場ではリハビリにゲームを取り入れるところがでてきています。ゲームに興じているのは70代以上のお年寄りです。子どもの医療にも使われます。子どもに治療や薬の説明をするのにはゲームが効果的なのです。

ゲームはなぜここまで様々な分野に進出しているのでしょうか?実はここ数年でゲームに関する研究がすすみ、今まで知られていなかったゲームの効用が次々と明らかになってきているのです。

まず、ゲームには人の心を動かす力があります。ゲームによって年齢の垣根を越えて友人になることを可能にします。思春期に入った子どもと会話ができずに悩む親に、子どもとコミュニケーションをとることも、ゲームを使えば簡単にできてしまいます。

勉強にゲームを利用することで、子どものテストの成績がアップするという報告もでてきています。ゲームは老若男女関係なく、人の生活を豊かに快適なものにすることを可能にします。それも、かなりの短期間で。

日本では、まだ悪者扱いにされることの多いゲームですが、それは誤解に近いといってもいいかもしれません。ゲームとの付き合い方を少し変えるだけで、誰でもその効果を実感できるはずです。

子どもがゲームばかりやって困っているという親御さんも多いかと思いますが、ゲームの性質を知れば、上手にゲームとの距離感をつかむことも可能ですし、子どもの能力を伸ばすことに利用することも可能です。

copyright © game-nouniyoi.com