ゲームの大きな魅力の一つに『ミッションをクリアする』というのがあります。ミッションをクリアするには、作戦を立てなくてはなりません。一人でやるゲームもありますが、オンラインゲームや、ソーシャルゲームでは複数の人と作戦の元、同じミッションに取り組むこととなります。

英語にはgamification(ゲーミフィケーション)という言葉があります。ゲーム化するという意味のgamefyから派生した言葉です。ゲームのもつ面白さ、人を熱中させる魅力を仕事や生活に応用しようという概念です。

海外ではすでに定着している言葉ですが、日本ではまだそれほど知られていません。日本の会社は滅私奉公といいますか、根性論で部下を叱咤激励して、売り上げを伸ばそうとしている会社がまだまだたくさんあります。しかし、それが災いして体調を崩したり、鬱など深刻な精神疾患をわずらう人が後を絶ちません。

こういった会社の雰囲気を180度変えることができるのが、ゲーミフィケーションなのです。ゲームはミッションをクリアする過程で、敵を倒したりアイテムを集めたりしてポイントを稼いだりします。最初は中々クリアできなくても、少しずつづつけて行くにつれてスキルが向上し、やがてはミッションをクリアできるようになります。

スキルが上がり、自分で成長していることが実感できると、それが自身につながり、もっと学びたい、上のステージへ行きたいと思うようになります。その心理を仕事に応用するのです。人には何かを学び、習得したいという欲があるのです。ゲームはその欲を上手に利用しているといえます。では、具体的にはどうやったら仕事にゲーミフィケーションを取り入れることができるでしょうか。

あなたの会社が、ある商品を去年は30,000個売ったとします。今年の目標は50,000個です。もうゲームは始まっています。50,000個の商品を売る。これが会社のミッションです。去年より20,000個多く売るのですから、かなり綿密に計画の練らなくてはいけません。ここで、ただ部下を叱責するのではなく、楽しいと思う要素、行動を起こすモチベーションを上げる要素を盛りこむ、いかにゲーム化がうまくできるか考えなくてはいけません。

売り上げのグラフを壁に張る、チームわけして売り上げを競わせる、これもゲーム化の一つではありますが、朝礼や会議で売り上げの悪い人を攻め立てるばかりでは雰囲気が悪くなりますし、ゲーム化の意味もありません。売り上げ成績が悪いのは何が原因なのか―悪者は何なのか考えて、それを全員でやっつける必要があります。困難を一緒に乗り越えるという経験をすると、人はいっそう結びつきが強くなるのです。

営業は、ゲームで言えば同じミッションをクリアする仲間であり、いわば一人一人がヒーローです。会議は悪者を倒すための作戦を練る場所、くらいの感覚でいたほうがいいアイデアが浮かぶかもしれません。

ミッションを始める前に、みんなで少しづつ、お金を出し合ってもいいでしょう。売り上げに大きく貢献した人を祝って、そのお金で盛大に呑んで大騒ぎするのです。お酒も人間関係を円滑にしてくれますし、小額でも、お金が絡むと人間がんばりますからね。